診療科目障がい者治療

障がい者治療について

障がいのある方あるいは保護者の方は、何らかの理由で歯医者に行きづらいというお悩みがあると思います。

例えば、以下の様なお悩みはありませんか?

  • 待合室や診療室で落ち着きがないため、周囲が気になる
  • 知的障がいや自閉症などのため、治療に対して非協力的である
  • 治療が進まない
  • 障がいについて理解がなく、安心して受診できない
  • コミュニケーションがうまくとれない
  • 抑えて治療された経験があり、歯医者がきらい
  • 毎回環境が変わり慣れない。

など・・・。

当院では月に2回、一般診療とは別に時間を確保し、障がいのある方、スペシャルニーズがある方への歯科治療のみを行っています。

障がい者の方を治療する為の当院の準備

当院の院長は、日本障害者歯科学会の認定医です。

適切な治療、必要な配慮を会得するため、学会で専門知識を学んでいます。この日本障害者歯科学会が案内する認定医のいる病院として、2012年6月現在、熊本では4医院が紹介されています。

スタッフは障がい者歯科専属の衛生士になります。やはり、実際に障がい者歯科診療に携わっているので、より細かい配慮や補助のコツを心得ています。

これまで私が障がい者歯科診療を行ってきた中で、その診療室の雰囲気や時間の流れは一般治療とは異なると感じています。障がい患者が治療に集中できるように環境やスタッフをそろえ、治療の密度を適応状態に応じて考慮する必要があります。このような違いを理解して頂きながらじっくりと治療を進めていくために、別枠で時間を確保して治療を行なっています。

またそうすることで、障がい患者個人の尊厳と安全を守れると考えています。

慣らし期間とその過程

まず、障がいのある方ですんなり歯科治療ができる人は少ないです。多くの方が治療の必要性を理解が難しい、治療に集中できない、無理に進めようとすると抵抗してしまう事があります。

そのため、診療はあせらず慎重に進めていきます。

例えば、初診時は問診と歯磨きだけで終わることが多いです。そしてまずはコミュニケーションをとれるようにします。その際、言葉だけでなく、絵や写真を用いることがあります。

その後、器具や治療に対する不安を減らし、治療に慣れていくようにはたらきかけます。このようにしていると、個人差はあるにせよ、治療に入れるまでに3,4回かかります。1回、2回で治療を完了させるのは非常に困難です。ある程度長いお付き合いになることをご理解頂いた上で来院下さい。

よくある疾患と当院の対応

様々な疾患の方が来院されますが、多い疾患に対して、当院が行なっている事、配慮していることを記してみます。

自閉症


絵カードで説明している様子

先の見通しがわからないと不安になりがちです。

ですので、使用する器具や処置内容などを、わかりやすく絵や写真で見せて十分に説明した後、処置にかかります。

知的障害


麻酔医の認定証

治療に対するレベルを判断することが大切です。治療可能な成長発達段階であれば、治療に慣れていくような方法をとります。

まだ治療可能なレベルに達していなければ、麻酔(鎮静法、全身麻酔)を用いたり、抑制したり、経過観察とするなど治療方法を検討します。

脳性麻痺

緊張や不安があると、反射的に口を閉じたり体が緊張したりすることがあるので、急な刺激や痛みがないように注意します。また患者は反射抑制姿勢をとることで、反射が軽減できます。

ダウン症

ダウン症の方は歯周病が進行しやすい傾向がありますので、歯周病には注意しています。あと、心臓疾患などの合併症を配慮し、麻酔の種類や量を調節したりもしています。

初めての方、保護者・付き添いの方へ

障がい者治療は、健常者の進め方とはすこし勝手が違ったりします。初めて来院される保護者の方や付き添いの方に、いくつかお知らせがありますのでご案内させて頂きます。

  • 問診票が一般用と内容と違います。当日いきなりだと、少し時間がかかり、十分詳細に記入していただくことができないかもしれません。このサイトでダウンロード出来るようにしていますので、予めチェックしておいて下さい
  • 初回は保護者(または付き添いの方)だけでご相談に来て頂いても大丈夫です。実際に障がい者歯科診療を行なっている日に見学に来られるのもOKです。
  • 診察は予約制になっています。予めお電話でご予約下さい。(飛び込みでの対応は難しく、予約患者が優先となります)
  • 「全身麻酔の希望」で来られる方も、治療方法等については、ご相談のうえ決定させていた

診療日について

  • 月に2回
  • 第二、第三、木曜日
  • 診療時間:9:00~12:30、14:00~17:30
  • 予約制

よくある質問

障がい者診療をしているということで、かなり具体的な質問を頂きます。ここではよくある質問と回答をご紹介させて頂きます。

Q.なかなか今までの歯医者さんで治療が出来なかったのですがそちらでは対応可能でしょうか?
もちろん診察させていただかないと分かりませんが、今までは治療ができなくても、成長に伴いできるようになることもありますし、当院のやり方に合えば上達することも十分考えられます。実際に、現在さまざまな障害で、レベルもさまざまな方が受診されてます。必ずしも順調に上達している方ばかりではありませんが、それぞれに合った方法で、ゆっくりでも治療は進んでいます。また現時点で完璧な治療は難しくても、虫歯の予防や進行を抑えるような処置までは可能な場合も多いです。
Q.病気について理解してもらえるのでしょうか?
私が障がい者の歯科治療に携わって7年、自分で始めて5年になります。現在では、毎回20名ほど、年間だと月2回×12ヶ月で400人~500人くらいの障がい者の方を診療しています。また障がい者歯科に関する学会や研究会、研修会にも積極的に参加し、研鑽を積んでいるところです。歯科衛生士も障がい者歯科専属の衛生士となっております。
Q.じっと待つことが出来ないですが大丈夫でしょうか?
障がい者歯科診療日は余裕を持った予約となっており、できるかぎり予約時間のずれがでないように心がけております。
Q.治療期間はどらくらいかかりますか?
一般治療と比べると治療期間は明らかに長くかかります。初診から実際に治療ができるまでに2,3回かかる方が多く、また診療日が月に2回であるため、一年以上続く方もあります。反対に虫歯が多い方で全身麻酔で集中歯科治療をすると、一気に終了することもあります。一度、受診していただくとある程度の予定はご相談できると思います。
Q.全身麻酔は出来ますか?
当院には現在、全身麻酔、鎮静法を行う設備がありません。しかし麻酔下での治療が必要な患者もおりますので、その際は関連施設をご紹介させていただいております。当院には日本歯科麻酔学会認定医が2名常勤しております。鎮静は今年中に実施予定であります。

問診票ダウンロード

障がい者診療の問診票は、適切な治療を進めていくため一般診療の問診票にくらべ質問事項が多くなっています。

保護者の方でも、少し思い出しながらでないと書きにくかったりする項目もありますので、どのような内容になっているか、ダウンロードしてご確認頂けるようにしております。

下記よりダウンロードしていただきご活用下さい。

印刷可能でしたらプリントアウト後、ご記入したものをご持参頂いても結構です。

問診票のダウンロードはこちら

※上記クリックで問診票がダウンロードで出来ず、内容が表示されてしまう場合は、リンク部分にマウスを乗せて、右クリックでメニューを表示させて「名前をつけて対象を保存」をクリックして下さい。